封建社会

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封建社会とは

封建社会とは、主従関係から成り立つ社会のことで、日本では、鎌倉時代から江戸時代にかけての武士の世界を指すことが多い。

日本における封建社会の主君とは、天皇を主君として、政権を委任される幕府や征夷大将軍、征夷大将軍を主君として、領土(国)を与えられた藩や国主、藩主(大名)を主君とした家臣(藩士)などの関係を指す。

もちろん、明治維新後にこうした封建社会から民主主義へ舵取りをした日本ではあるが、成熟した民主主義よりも、明治新政府は、軍国主義や中央集権の強化を推進したため、天皇を中心とした半封建社会は、第二次世界大戦まで続いたと考えて良い。

戦後、GHQの関与により、天皇は主君ではなく、国民の象徴とされてしまったが、鎌倉幕府開府を1195年(1992年は、源頼朝が征夷大将軍として任命された年、1195年は、守護・地頭の任命権を得たときで、鎌倉幕府の始まりにはいくつか議論がある)とすれば、第二次世界大戦が終戦した1945年までの間、750年間、天皇を主君として、幕府や政府が置かれていたと考えて良い。また、明治から昭和を除いたとしても、江戸時代の終わりとされる徳川慶喜による大政奉還が起きた1867年までの675年間は、封建社会であった。

現在(2018年)まで、それぞれ73年、151年と封建社会後の歴史は、封建社会であった時代よりも圧倒的に短く、日本人の価値観を大幅に変え、脱封建社会の状態に至っているかは、いささか疑問が残る。

戦後の日本の封建社会

もちろん、戦後は封建社会とは定義されない。

しかし、戦後、高度成長を成し遂げ、バブル崩壊までの間、主君はいないとしても、多くの国民にとり、会社そのものが従来の主君に当たり、会社のために、国民の多くが働き、会社に対し忠誠を誓う事で、経済が成り立ってきた感は否めない。

すなわち、戦後においては、会社と従業員という関係で、ゆるい封建主義的な関係が構築され、その象徴として、終身雇用という社会的に自然発生した制度が普及した。

これは、一つの企業に対して忠誠を誓い、真面目に勤務すれば解雇されず、定年まで従業員としての地位が保証される点において、封建主義であると言わざるを得ない。

雇用の流動化や非正規雇用者の拡大を経て、終身雇用制度は崩壊しつつある。

但し、今での終身雇用を前提として会社と従業員の間に主従関係が生じえいることから、未だに、日本の封建社会の名残が、日本社会から消え去っているとは言えないのである。

終身雇用の崩壊

終身雇用が崩壊しつつある理由は、主に下記の3点が挙げられる。

  1. そもそもどんな有名・優良と呼ばれる会社でも永遠に続くとは限らない。
  2. 少子高齢化による労働人口の減少で、労働者の力が高まり、会社は今までのような立場にはない。
  3. ワカモノを中心に、価値観の多様化が進んでおり、必ずしも終身雇用を目的としていない。

 

1,突然、会社の経営が悪化する、または会社がなくなる

そもそも論として、巷で有名・優良と呼ばれる企業が、永遠と続くとは限らない。

日本の家電メーカーは、世界でもトップレベルの製品を生み出し、高いシェアを持っていたのは過去の話となり、家電大手のシャープは台湾の鴻海傘下に、サンヨーはすでに消滅し、パナソニックと合併、東芝は、アメリカでの不祥事の発覚で大幅リストラ、その他のSonyにしろ、Panasonicにしろ、今後先行きがどうなるかはわからない。

また、日本のお家芸である、いわゆる町工場の高い技術力にしても、高い技術力で自動車のエンジンの部品の一つの世界シェアを独占していたとしても、肝心の高度な技術が必要なエンジン部分では、ガソリン車2万点に対し、電気自動車は50点で済む。

ほぼすべての日本の町工場は、自動車から違う分野へ進出しない限り生き残れない。

大きな企業であってもリストラはあるし、会社は倒産するし、中小企業においては、産業そのものが、この世から消えることもある。

従って、終身雇用を前提としようとも、そもそも定年までその会社が持つかどうかはわからないのだ。

 

2,少子高齢化による労働人口の減少

少子高齢化による労働人口の減少が与える日本社会へのインパクトは大きい。

そもそも労働人口が減るということは、稼ぐ人が減るのので、一人ひとりの生産性が上がらない限り、日本経済は衰退するだけとなる。

よくAI(人工知能)が登場するのだから、人間に代わってAIが仕事をするので、労働人口が減少しても構わないという説があるが、AIは稼いでも消費はしない(AIは、AIのために洋服の買い物やリラクゼーションといったサービスを受けたりをしない)。消費が起きるから、経済が循環するので、AIそのものが、経済成長に寄与するかといえば、しないのである。

もちろん、AIの登場により、人間の仕事が減るのであるが、減った仕事で何が残るのかを考えると、少子高齢化ということは、高齢者が増えるので、高齢者関連の仕事が増える。

つまり、介護の中でロボットが担えること以外の仕事は、今後増えるが、それ以外の事務の仕事や銀行員、会計士などの士業などは減り、どんな仕事が残るのかは、AI次第といったところだ。

今後企業が求める人材は、AIを使いこなせる人間だけになり、それに見合うだけの能力があれば、仕事に困ることはないだろうが、日本の労働者の殆どは、路頭に迷うことになる。

しかし、日本の労働者の99.7%は、中小企業に雇用されている。この中小企業にどの程度AIに対して設備投資や関心があるのかは別として、人手不足を原因とする倒産は、直近の数年間で3倍にも膨れ上がっており、労働人口の減少そのものが、中小企業に打撃を与えている。

人手不足に悩む企業は、全体の50%を超え、中小企業では少しでも人材を確保するために奔走しているが、働き側も選択肢が増えたということになるので、一度就職しても気に入らなければ、すぐに転職できる環境にもなった。

このAIの日本社会への浸透と人手不足倒産のバランスが人手不足に傾いている現状においては、会社を主とする主従関係は薄い。しかし、AIが普及しきった世界では、今度は主従関係ではなく、奴隷制度のような時代が訪れるかもしれない。

封建制度と奴隷制度の違いは、全社は、主君に忠誠を誓う代わりに、主君は、家臣を守る義務があるが、奴隷制度は、主君にいくら忠誠を誓おうとも、主君は奴隷を守ららない点にある。

 

3,価値観の多様化

社会人としての当たり前とは、一体どのようなことを指すのか。

一昔前であれば、会社に定年まで勤め上げ、貯金をし、年金や税金を払い、家を買い住宅ローンの返済でほぼ人生の半分を犠牲にし、老後には退職金と貯金を切り崩しながら、年金で生活するといったところだろうか。

しかし、そんな価値観は、今のワカモノにはない。

そもそも家も車も要らない時代なのだ。家もルームシェアでいい、車もカーシェアリングでいいとなれば、所有をする文化すらなくなる。

結婚式の簡素化も進み結婚の準備資金も要らない、子どもは学費の無償化が進み、昔ほどお金がかからない。

そもそも今のワカモノに、貯蓄をしなければならない理由がないし、大きなローンの返済もない。

ともすれば、その日暮らしができればよいのであり、「何が何でも稼がなければならない」というモチベーションがないのだ。

そんなことよりも、自分の人生に価値のあることに、時間とお金を費やす。

残念ながら、確かにワカモノの中には、スマートフォンのゲームアプリに価値を見出し、時間とお金を費やしている者もいる。

しかし、それ以外のSNSでのコミュニケーションを重視するのであれば、少し前に流行語にもなったインスタ映えさせるようなレストランで食事をしたり、旅行をしたりと、仕事よりもプライベートを充実させる傾向にある。

もちろん、仕事中心のワカモノがいないわけではないが、会社のためというよりも、自己実現のために働いている傾向にあり、会社のビジョンや方向性に共感して就職をしたり、副業を通じて、自分の価値を高めたりと、今までのザ・ジャパニーズ・サラリーマンといった会社との主従関係にはない。

 

まとめ

鎌倉幕府開府後から現在に至るまで、その形態は異なるものの、何かしらの主従関係が日本社会を封建社会として構築してきた。

しかし、現在においては、会社と従業員といった戦後の主従関係の枠組みも崩壊しつつあり、日本が本質的に封建主義的な社会から開放されつつあると言える。

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