
総務と経理の職務内容とその違いを解説|兼任が多い理由とは?
更新日 2023/05/31
総務や経理への移動を提案された場合、明確にしておきたいのは職務内容です。この記事では、総務と経理の主な業務や年収について深堀りしています。仕事の特性を把握し、自分が総務や経理の職に適しているかどうかを判断するための参考にしてください。
総務と経理の役割とその違いについて
総務と経理の業務内容やそれらの違いについて理解を深めたいと思っている人は多いでしょう。これらの部署はそれぞれ異なる分野を担当していますが、会社の裏方としてのサポート役という共通点もあります。「バックオフィス」業務としての総務と経理
総務と経理は、その職務の性質から、労務と一緒に「バックオフィス」業務と呼ばれることがあります。「バックオフィス」業務とは、会社の経営に必要な「人・物・金・情報」の4つのリソースを管理する業務を指します。これらのリソースを各部署で適切に管理し運用することで、会社の利益を最大化する役割を果たしています。総務部門の主要な職務内容
総務部門の主要な業務内容は以下のようなものがあります。- 会社全体の設備管理
- 使用する用品の調達と管理
- 文書の作成
- メールや電話の対応
- 福利厚生業務の管理
また、部長や課長などの上級職になると、総務部のリーダーとして全体の運営を指導することも職務の一部です。部下の教育やモチベーション管理を行いつつ、部署全体の指導を担当します。
経理の主要な業務内容 経理部門は企業の金融活動全般を監督し、その職務は時期によって変化します。主な業務は以下のようになります。
- 日々の業務:
- 現金出納帳の監督
- 経費精算の処理
- 伝票の整理
- 売掛金・買掛金の管理
- 月末の業務:
- 給与の支払い
- 月次財務報告書の作成
- 予算の監督
- 年末の業務:
- 所得税の確定申告
- 税金の申告
- 年次財務報告書の作成
- 社会保険の管理
なぜ経理と総務が同じ部署で統括されるのか
多くの企業では、一人が経理と総務の役割を兼ねることが珍しくありません。これらの部門は異なる分野にかかわりながら、なぜ同一の部署にまとめられるのか、疑問を持つ人も少なくないでしょう。バックオフィス業務を共有し、業務が密接に連携しているから
経理と総務の業務は、しばしば一つの役割として効率的に実行されることがあります。特に、消耗品や設備の管理など、お金を含む総務のタスクがこの例です。原則として、総務が行う業務も経理が兼任することで、発生した費用の追跡を一元管理することが可能になります。一つの部署が全体を一貫して管理することで、時間の節約やエラーの減少が期待できます。
10人以下の企業では、経理と総務が同じ部門のことが多い
社員が10名以下の小規模な企業では、人員の配置を考慮して経理と総務を統合するケースがよくあります。各部署を細分化して雇用すると人件費がかさみ、会社の経営負担となる可能性があります。企業の規模に応じた運営では、一つの部署が多角的な業務を統括することが必要となることがあります。総務と経理を同時に担当すると仕事量が増えて大変
総務と経理を同時に行うと、業務範囲が広がり、一見大変そうに感じるかもしれません。しかし、それぞれの領域がバックオフィス業務としての共通点を持っているという事実もあります。業務の流れに慣れると、複数の人が分業するよりも仕事がしやすくなることがあります。両方の領域を担当することはスキルの向上につながるので、任された場合はポジティブに捉え、挑戦してみてください。総務・経理の職に最適な人物の特性
総務や経理の職務について理解した上で、自分がこれらの業務に適しているかどうか、気になる方は少なくないでしょう。業務遂行能力に加えて、求められる特性について説明します。総務職に適した人物の特徴
総務の職に適している人々の特性は次のように挙げられます。- 整理整頓が得意
- 人から頼まれるのが好き
- 社内での人間関係が広範
- 協調性がある
- マルチタスクに対応できる
経理職に適した人物の特性
経理職に最適な人の特性は、次のとおりです。- 数値に対する抵抗感がない
- 精度高く作業ができる
- コミュニケーションスキルがある
- 計画的な思考ができる
- 締切を遵守する能力がある
総務・経理の平均年収
総務と経理の仕事内容を理解するにあたり、年収について興味を持つ方も多いでしょう。各年齢層の平均を把握しておくと、昇進や昇給の目安になります。ここでは、総務と経理の平均年収について説明します。総務について
総務平均年収は435万円でした。以下は、総務の平均年収を年齢別にまとめた表です。年齢 | 平均年収 |
---|---|
20代前半 | 344万円 |
20代後半 | 388万円 |
30代 | 438万円 |
40代以上 | 539万円 |
総務部門では、20代では主に会社の日々の業務を担当し、経験が積み重ねられるにつれてその成果が年収に反映されると考えられます。40代以上では部長や課長などのリーダー職を務める人が増え、その役割の重要性により年収も大きく上昇します。
経理の場合について
全年齢層の経理平均年収は464万円でした。以下は、経理の平均年収を年齢別にまとめた表です。年齢 | 平均年収 |
---|---|
20代前半 | 352万円 |
20代後半 | 419万円 |
30代 | 500万円 |
40代以上 | 553万円 |
経理は専門知識を必要とする業務が多く、そのため総務に比べて年収の基準がやや高めに設定されている傾向があります。また、兼務する業務の範囲が広がることで年収も増える可能性があると考えられます。40代以降になると、課長や部長といった役職に就く人が増えるため、その影響で年収が上昇しやすいのが一般的です。
総務の職務において役立つ資格
総務の業務には、法律に関する知識やドキュメンテーション能力がしばしば求められます。資格の取得を通じてスキルを強化することは、実務において有益となります。①社会保険労務士
社会保険労務士という資格は、人事に関する専門家として、各種の文書作成や手続きを行うことができる国家資格です。具体的には、就業規則の制定や労働条件の提案、社会保険手続きなどを行うことが可能です。総務の業務は社会保険労務士のスキルと深く関連しています。そのため、この資格を取得することは実際の業務で役立つでしょう。また、転職の際には、自身が総務としての能力を有していることを証明するアピール材料となります。
②ビジネス・キャリア検定
ビジネス・キャリア検定は、事務職に関連した知識を修得できる認定資格です。バックオフィスの仕事を8つの領域に分けて、自分が学びたい分野を選択できます。総務の役職にある人がこの資格を取得すると、法律やリスク管理などの重要な知識を学ぶ機会に恵まれます。これは、総務の職務で求められる知識を活用するのに重宝します。4つの異なる難易度から選択できるので、入社後もスキルの見直しやレベルアップを目指して定期的に受験することが可能です。
③衛生管理者
衛生管理者という資格は、従業員の健康と安全を確保するための知識を身につける国家資格です。衛生管理教育を従業員に提供することにより、職場を健康と安全の観点からサポートする役割を果たします。従業員が50名以上在籍する職場では、必ず衛生管理者を指名する必要があり、総務がその役割を果たすことは珍しくありません。総務の業務にはコンプライアンスの問題も関わるため、衛生管理者の資格を取得していると実務で活用できる可能性があります。国家資格の中でも比較的難易度が低いとされているため、一度試してみることをおすすめします。
経理の職務において有用な資格
経理は主に金融の流れを管理する業務で、文書作成の能力を持つと実際の仕事で活用することができます。さらに、会社の運営に関連する数値を解釈するスキルを身につけることで、経営貢献の可能性も広がります。①日商簿記(2級以上)
日商簿記は、会計関連の認定資格の中でも一般的なものです。この資格を持つと経理のプロセスが理解でき、企業の財務情報を把握する能力を身につけることが可能となります。経理の職を求める際に2級以上の資格を求める企業も少なくなく、資格を取得していると基本的な業務スキルが習得済みであることを示すことができます。また、1級に合格すると税理士の受験資格を取得することができるため、スキル向上の意欲を高めるきっかけにもなるでしょう。
②ファイナンシャルプランナー(2級以上)
ファイナンシャルプランナーは、資産管理についての専門的なアドバイスを提供するプロフェッショナルです。この資格を取得することで、企業の成果向上や業績が低迷している時の提案力を高めることが可能になります。経理の職務を担当している者がファイナンシャルプランナーの資格を取得することは、企業運営への貢献を可能とします。特に2級以上の資格は、経理の実際の業務に直接適用できる知識やスキルを多く含んでいるため、取得しておけば仕事理解が深まると考えられます。