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経理の転職事情とは?失敗のない転職の秘訣を解説

更新日 2023/05/15

経理の方の中には「現状の給与に不満がある」、「スキルを活かせず、業務に対するモチベーションが上がらない」といった様々な理由から、転職を考えている方は多いでしょう。しかし一方で、「経理の転職は難しい?」、「転職市場でどう評価されるか不安」といった理由から、転職活動ができない方もいるでしょう。本記事では、転職を考えている経理の方に、転職を実現するためのポイント紹介します。

経理の転職を考える理由

転職を検討する場合は、転職の理由を明確にすることが重要です。転職の面接では、ほとんどの場合、転職理由が質問されます。また、転職理由を明確にせずに転職してしまうと、前職が良かったと後悔することがあります。 以下では、経理の転職理由として一般的なものを4つ紹介します。

現在の待遇に不満がある

給与や残業時間、休日数など、労働に対する待遇については、自分自身の努力だけではなかなか改善することができません。入社前の説明と現実の待遇が異なることに悩んでいる人もいるかもしれません。給与を増やしたい、残業時間を減らしたい、休日数を確保したいという人は、転職してプライベートな生活を向上させようとする人が多いです。

経理のスキルアップを目指したい

大企業の経理職の場合、業務内容が分業化されており、特定の分野のスキルは身につくものの、他の分野のスキルが身につかない場合があります。将来的には、税務会計、請求書作成、決算書作成、現金や手形の管理、法人税計算、年末調整、社会保険料計算、固定資産管理、買掛金管理、売掛金管理、減価償却管理、データ入力、伝票作成、領収書整理、給与台帳作成など、幅広いスキルを身につけたいと考える人にとって、このような状況は困難かもしれません。そういった人々は、より広範囲な業務を行え、専門性を高めることができる職場を求めて転職を検討することもあります。

仕事のモチベーションが上がらない

最初はやる気に満ち溢れていた業務でも、日々のルーティーンワークになってしまい、仕事に対するモチベーションを失うことはよくあります。特に、経理業務は毎年同じような業務を繰り返すこともあるため、モチベーションを保つのが難しい面もあります。 このような状況になると、毎日会社に通うこともつらく感じるようになります。転職によって新しい業務内容や労働環境を手に入れることで、仕事に対するモチベーションを高めることができます。

職場の人間関係が不満

日中の多くの時間を過ごす職場で円滑に仕事をするためには、人間関係が非常に重要です。人間関係が悪化していたり、ハラスメントが蔓延しているような職場では、安心して仕事をすることができません。 経理のようなバックオフィス業務は、転勤や異動が少ないため、人間関係が固定化されやすいという特徴があります。そのため、転職によって職場の人間関係をリセットすることで、安心して仕事をする環境を手に入れることができます。

経理の転職は本当に難しい?

転職を考えると、つい敷居が高いと感じがちですが、経理の転職は実際に難しいのでしょうか。以下で、経理の転職における難易度についてお話しします。

経理は転職に適した職種

まず結論から言うと、経理は転職が比較的容易な職種です。その理由を2つお伝えします。

1つ目は、経理はどんな会社でも欠かせない業務であり、非常に需要が高いという点です。経理業務は汎用性があり、前職で身につけたスキルを転職先でも活かしやすいため、中途採用が盛んな部門だと言えます。

2つ目は、実務経験や資格をアピールしやすいという点です。経理業務では、伝票作成や決算書作成、税務会計など様々なタスクがありますが、前職で担当していた業務を説明することで、自分のスキルをはっきりとアピールできます。さらに、簿記など経理業務に関連する資格を持っていることも、スキルのアピールにつながります。

これらの理由から、経理は転職しやすい職種だと言えます。

経理に転職するための準備が大切

経理への転職を目指す際に必要な準備を見ていきましょう。

まず、自己分析を行って自分の長所と短所を理解することが大切です。さらに、経理のキャリアパスをどのように構築したいのか、求める職場環境や具体的な仕事内容を明確にすることも重視されます。さらに、職務経歴書や履歴書の整備、面接の模擬練習など、転職を進めるための準備も入念に行う必要があります。

経理転職に役立つスキルとは?

転職をスムーズに進めるためには、自分自身の価値を向上させることが重要です。以下に、そのために必要なスキルをいくつか紹介します。

経理の実務経験

転職活動で最も重視されるのは、経理の実務経験です。経理業務は外注可能な業務であるため、社内に必要最低限の経理担当者しか雇わない企業が少なくありません。そのため、経理の転職希望者は、即座に活躍できることが求められます。応募要件として、「経理業務を◯年以上担当していた」、「一人で月次決算ができる」などの具体的な実務経験が求められることが多いです。

転職活動時には、以前の職場でどのような業務を担当していて、その業務をどうアピールできるかを説明できるようにしておくことが必要です。具体的には、「連結決算書を作成できる」や、「税務申告を担当していた」などが挙げられます。自分の持っているスキルを効果的にアピールすれば、転職活動は有利に進めることができます。

簿記の知識

経理と簿記は密接に関連しています。経理は資金の流れを整理・管理する業務であり、そのためには簿記の知識が欠かせません。

転職活動で自分のスキルをアピールするためには、日商簿記2級以上の資格を持っていることが望ましいです。2級を持っていれば、ビジネスで必要な仕訳のスキルを持っていることが証明できます。日商簿記3級でもある程度の知識は証明できますが、即戦力を求める求人に対しては不利な場合が多いです。逆に、日商簿記1級は非常に難易度が高いため、転職のために取得するのは現実的ではないかもしれません。

なお、簿記の資格には、「日商簿記」、「全商簿記」、「全経簿記」などがありますが、通常、簿記といえば日商簿記を指し、転職市場で評価されるのも日商簿記であることを理解しておくべきです。

英語能力

業界によっては、英語能力も重要なスキルとなることがあります。特に、海外のパートナーとのコミュニケーションが求められる経理業務では、英語力があると幅広い業務を手がけることが可能となります。

その他の資格

日商簿記以外にも、経理のスキルを証明する資格として、給与計算検定やビジネス会計検定、電子会計実務検定などがあります。ただし、これらの資格は日商簿記2級と比較すると優先度は低く、まずは日商簿記2級の取得を目指し、時間と余裕がある場合にこれらの資格も考慮すると良いでしょう。

経理の転職に最適なタイミングとは?

転職を成功させるためには、最適なタイミングを見計らうことが不可欠です。以下では、転職に最適なシーズンや年齢について解説します。

最適な転職シーズンは1月~2月

経理の分野で転職を考えるなら、1月〜2月が最適な時期と言えます。多くの日本企業が3月を年度末とし、5月末の税務申告に向けて各種計算書類を準備するため、1月〜2月は経理の人材を集めるための採用活動が活発になります。

したがって、求人情報が豊富に出ている1月〜2月に転職活動を始めるのが理想的です。ただし、転職に向けた準備はそれ以前から進めておくべきです。

転職に最適な年齢は30代

経理の分野では、30代が転職に最適な年齢とされています。この年齢層は就職してから一定期間が経過し、実務経験が豊富で即戦力として評価されやすいからです。

一方、20代は即戦力というよりも、将来的な成長性が求められます。そのため、資格を取得するなど、自己成長への意欲を示すことで、転職活動の成功につながります。

業績が良好な企業や新規事業を開始する企業

転職の成功には、転職先の企業選びも重要な要素です。企業の規模だけでなく、業績が良好で人員増加が見込まれる企業や、新規事業を開始する企業は、転職先として魅力的です。そのため、企業の現状や今後の展望について、十分に調査しておくことが求められます。また、新規事業を立ち上げる企業は、新しい経験を積むチャンスがあるため、キャリアアップを目指す人にとっては魅力的な選択肢となります。

しかし、転職活動は自身のスキルや経験だけでなく、転職先で求められるスキルや経験、そして自身のキャリアビジョンにも影響されます。したがって、自身のキャリアパスに合った企業を選ぶことが、転職成功の鍵となるでしょう。また、転職活動は時間と労力を必要とします。そのため、無理なく進められるように、自身のライフスタイルや時間管理にも注意を払うことが必要です。計画的に進めることで、ストレスを最小限に抑え、自身の目標を達成することができるでしょう。

経理の転職は、適切なタイミングと準備が重要です。自身のスキルや経験を見つめ直し、自分に合った企業を見つけることで、転職活動を成功に導くことができます。

経理転職における企業規模の重要性

経理の業務内容は企業の規模によって大きく変わります。転職先を選ぶ際には、企業の規模とそれに伴う業務内容を考慮することが肝要です。以下で、異なる企業規模が経理業務にどのような影響を及ぼすかを詳しく見ていきましょう。

大手企業での経理業務

大手企業では、経理部門が多数のスタッフで構成されており、業務はチームで行われます。結果として、一人ひとりの担当範囲は比較的狭くなる傾向があります。

同時に、連結決算のような専門的な業務を担当する機会も増えます。大企業の経理職では、特定分野に深い知識が求められることもあるでしょう

中小企業での経理業務

中小企業では、経理部門のスタッフ数が少ないため、一人が多岐にわたる業務を担当することになります。しかし、高度な専門性を必要とする業務はそれほど多くはないでしょう。したがって、中小企業の経理職では、広範囲の基礎知識が重視されます。

スタートアップでの経理業務

スタートアップ企業でも基本的には中小企業と同じく、広範囲の経理業務を担当します。しかしながら、スタートアップではしばしば管理部門の体制が完全には整っていないため、経理職が経理だけでなく、総務、法務、人事など、幅広い管理業務を兼任することもあります。

未経験の業務に取り組むことは大変な面もありますが、同時にやりがいのある仕事とも言えます。

経理の転職先を選ぶ要素は何か?

転職活動がうまく進行すれば、いくつかの企業から内定を得ることができます。そういった状況になったとき、どの基準で最終的な転職先を選んだら良いのでしょうか。以下では、転職先を決定する際の考慮ポイントを説明します。

給与と待遇

多くの人が転職を通じて収入を増やすことを目指します。特に、経理の職種は営業職と比べて成果報酬や奨励金が少ないため、収入を増やすためには転職が最適な選択肢となることが多いです。そういった方々にとっては、給与条件は重要な決定要素となるでしょう。

ミスマッチを避けるために、選考プロセスが進行する段階で、具体的な条件を問い合わせて確認することが重要です。また、給与だけでなく、福利厚生や各種手当なども検討に入れると、満足度の高い転職が可能となります。

仕事の内容

自己の経理能力を向上させたり、仕事の充実感を求めて転職を考える方は、仕事の内容に重きを置くことが良いでしょう。面接時には、入社後にどのような業務を担当し、どのようなキャリアパスがあるのかを確認してみましょう。

人間関係と社風

人間関係の問題や現在の職場の雰囲気に不満を感じて転職を考える場合、新たな職場の人間関係や社風は大きな要素となります。社内の人間関係や社風については、現職の社員に直接尋ねるのが最良の方法ですが、デリケートな問題であるため直接尋ねるのが難しい場合もあります。そういった場合には、口コミサイトやSNSなどを利用して、社員の率直な意見を集めると良いでしょう。

優先順位の設定が重要

転職を考える際に重視する要素は人によって異なります。全ての理想を持つ企業に出会うことは稀です。そのため、自分が転職先に望む条件の中で、何が最も重要で、何には妥協できるかを検討し、それぞれに優先順位を設けることが大切です。

この優先順位を明確にし、どの点で譲れないか、どの点なら譲れるかを理解することで、より満足度の高い転職先を選択することが可能となります。自身の価値観と期待をはっきりさせることで、適切な転職先を見つけられるでしょう。

経理職への転職を成功させるための志望理由とは何か?

転職を進める上で、志望理由は非常に重要な要素の一つです。志望理由は履歴書に記述するだけでなく、面接でもほぼ必ず尋ねられます。そのため、説得力のある志望理由を用意することは、転職活動を成功させるための大切なステップです。ここでは、説得力のある志望理由について解説します。

その企業で働く理由を具体的に示す

志望理由を述べる際には、その会社に対する具体的な興味や意欲を明確に示すことが重要です。どれだけ能力がある人でも、その会社への意欲が伝わらなければ、採用される可能性は低くなります。

意欲を示すためには、自分が何を成し遂げたいか、何を望んでいるかを述べ、それが以前の職場ではなぜ達成できなかったのか、そして新しい職場でどのように達成できると考えるのかを説明することが必要です。例えば、「経理業務の中で私が特に関心を持っているのは〇〇ですが、以前の職場では△△の理由でそれを達成することができませんでした。だからこそ、その目標を達成できると思われるあなたの会社で働きたいと考えています」と具体的に説明することが重要です。

自身が企業にどのように貢献できるかを示す

中途採用においては新卒採用とは異なり、即戦力として期待されます。そのため、自分が企業から何を求めているかだけでなく、自分がその企業にどう貢献できるかを示すことも重要です。

自分が以前の職場でどのような経理業務に携わっていたのか、どのようなスキルを持っているのかを説明し、その経験やスキルが新しい会社でどのように活かされると思うのかを説明することで、採用の可能性を高めることができます。

経理への転職方法

経理への転職は、他の職種への転職と同じく、直接企業への応募、転職エージェントを通じた紹介、または求人ウェブサイトを利用するという方法があります。

転職エージェントを活用する

転職エージェントを利用すると、転職活動を効率的に進めることができます。転職エージェントは、あなたの希望する条件やスキル、キャリアプランを把握した上で、求人情報を紹介してくれます。さらに、面接の準備や条件交渉のアドバイスも提供してくれます。ほとんどの転職エージェントは無料で利用できるため、積極的に活用することをおすすめします。

経理専門の求人ウェブサイトを利用する

経理専門の求人ウェブサイトを利用すれば、自分にぴったりの求人を見つけることができます。経理専門の求人サイトでは、経理職の求人情報が豊富に掲載されており、自分に最適な求人を見つけやすいです。さらに、求人情報だけでなく、転職に関するアドバイスや情報も提供されているため、転職活動を円滑に進めるのに役立ちます。

経理の面接で重視すべき要点とは?

内定を獲得するためには、面接を見事にクリアすることが必要不可欠です。ここでは、面接で押さえておきたいポイントを説明します。

自己PRをはっきり伝える

履歴書や職務経歴書で自己PRを書き表すのとは違い、面接では自己PRを口頭で伝える必要があり、そのためには事前の準備が重要です。さらに、面接では深掘りされる可能性もあるので、注意が必要です。

前職でどのような仕事を担当し、どのようなスキルを持っているかはもちろん、面接のやり取りでスムーズに答えられるようにしておくことが大切です。特に経理職として、具体的な例を交えて自社やプロジェクトへの貢献を述べると良いでしょう。

逆質問を準備する

逆質問がないと、面接官から見てあなたの会社への興味が低いと判断される可能性があります。そのため、事前に企業のウェブサイトや口コミサイトを調べ、逆質問を考えておくことが重要です。

ただし、ウェブサイトで簡単に調べられる情報を質問すると、面接の準備をしっかりとしていないという印象を与え、マイナスになります。ウェブサイトに公開されている情報を基に、企業に対する興味を示す質問を考えると良いでしょう。経理に関する質問としては、日々の業務の割合や、経理職のキャリアパスなどを聞くと良いでしょう。

面接のマナーを守る

経理職の転職活動でも、一般的な社会人としてのマナーは必須です。具体的には、適切な服装や髪型、入退室時の態度、敬語の使用などです。

これらは社会人として当たり前のマナーであり、これらが守られていない場合、面接官は詳細を聞く前に不適合と判断するでしょう。マナーについて自信がない場合は、事前にマナーについて学ぶために参考書を読むなどして、マナーについての理解を深めておきましょう。

また、経理職ではチームでの業務が多いため、スムーズなコミュニケーションがとれるかどうかも重要な観点です。質問に対しては一問一答を心掛け、関連性のない話をするのは避けましょう。

面接後のフォローアップも大切

面接後に企業側へのフォローアップを行うことも、転職活動において重要です。面接当日に、感謝の意を伝えるメールを送ると良いでしょう。このような行為はあなたのプロフェッショナリズムを示すと同時に、あなたがその企業に対して真剣に考えているという印象を与えることができます。

経理への転職の成功を切り開こう

経理は需要が高く、幅広い活用性を持つ職種です。自分自身の経験やスキル、そして適切なタイミングを把握し、業界について十分な調査を行うことで、納得のいく結果を得ることが可能です。