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経理初心者はどこから学べば良い?|おすすめの資格と学習方法を紹介

更新日 2023/06/12
「経理初心者の方は、どのように学べば良いのでしょうか?」。このような問題を抱える経理初心者の方々が多いことでしょう。もしくは「経理の仕事に憧れて就職したものの、経理の知識が不足していて困っている」「経理部署への異動が決まりましたが、全くの初心者で手探り状態です」「経理知識をより効率的に身につけたいと思っていますが、どのように取り組めば良いのか分かりません」という悩みを抱えているかもしれません。

そこで、今回は経理初心者の方々に向けて、経理の学習方法や勉強のメリット・デメリット、おすすめの資格などについてご紹介いたします。

経理初心者は、どこから学ぶべきか?

初心者の方は、まず基本的な内容を理解し、全体像を把握する必要があります。そのためには、以下の項目に取り組むことが先決です。

  • 経理の基礎知識の習得
  • 簿記の学習
  • 経理ソフトの使い方の習得
これらの知識を学ぶだけでなく、実務の経験も重要です。実際の業務を通じて、効率的に様々なことを吸収することができます。細かいルールは実務の中で覚えていけば問題ありません。

経理の3つの基礎

経理はそれぞれの業務を理解した上で、流れを把握しておくことが重要です。

  • 財務会計:財務諸表などの会計情報を外部に提供するための会計
  • 税務会計:法人税や所得税、消費税などの税金計算に関する会計
  • 管理会計:経営管理のための会計情報を内部で使用する。経営者は、管理会計の情報に基づいて意思決定

経理の業務サイクルの例

全ての会社は事業年度を1年とし、年度末には決算書を作成します。繁忙期には残業が必要な場合もありますが、基本的には同じ作業をルーティンワークとして行います。

1日の流れ
時刻 タスク
9:00 出社
10:00 小口現金を開く
11:00 経費や仮払金の処理
12:00 昼食
13:00 伝票作成
14:00 データ入力・帳簿作成
15:00 現金残高の照合
16:00 普通預金確認・入力メールチェック・ファイリング
17:00 小口現金を閉じる
18:00 退社


1ヶ月の流れ
日付 タスク
1日 領収書・請求書の発行
5日 売掛金・買掛金の管理
10日 住民税・源泉所得税の納付
20日 給与計算・取引先への支払い・請求書発行
25日 社会保険料納付給与支払
末日 在庫管理


1年の流れ
タスク
4月 決算関係業務
5月 年次決算書作成
6月 株主総会・税務申告・有価証券報告書作成・賞与計算・振込・社会保険の算定基礎届提出
7月 労働保険の更新
11月 中間税務申告
12月 賞与計算・振込
1月 年末調整・給与支払・報告書作成・法定調書の提出・償却資産税申告書提出
3月 実地棚卸・残高確認


簿記について

簿記は、日々の経営活動を記録・計算・整理し、経営成績と財政状態を明らかにするスキルです。経理の学習においては、簿記の理解が最も重要なステップです。

ほとんどの企業は会計ソフトを使用しており、簿記の知識がなくてもデータ入力は可能です。しかし、取引内容を理解せずに入力していては、経理の担当者としては問題が生じるでしょう。

経理は会社の経済活動を管理する専門職であり、十分な知識を身につける必要があります。

初心者の方は、まず日商簿記検定3級から始めることをおすすめします。転職やキャリアアップを目指す場合は、2級を取得しておくと役立つでしょう。

表計算・会計ソフトの使い方について

表計算・会計ソフトは、経理業務において不可欠です。表計算ソフトは数字の集計や分析に使用されます。経理業務では資料作成にも頻繁に利用されるため、必須のソフトウェアと言えます。

会計ソフトは、会計業務を効率的に行うためのソフトウェアであり、仕訳入力だけでなく総勘定元帳、貸借対照表、損益計算書、決算書などの作成・出力も可能です。

企業によって使用する会計ソフトは異なりますが、基本的な操作はそれほど変わりません。いくつかの会計ソフトには無料体験版が提供されているので、自分が使用する会計ソフトを確認し、事前に練習してみることもおすすめです。

経理の学習方法

経理の学習を効率的に進めるためには、以下の方法があります。

書籍での学習

書店に行くと、会計や簿記に関連するコーナーに、たくさんの参考書や問題集が並んでいます。イラストや図解を交えた分かりやすいテキストも多くあり、一冊を購入して繰り返し読むことで、知識を獲得することができます。

自分のペースで学習したい方や予算を抑えて知識を得たい方には最適です。自分の好きな時間に学習できる利点や、費用を節約できる点もあります。予算を抑えたい場合は、図書館での貸し出しも利用してみましょう。

ただし、時間がかかりすぎて知識が定着しにくいことや、費用をあまりかけないために真剣さが欠けることがデメリットとして挙げられます。

オンラインでの学習

最近ではオンライン上での学習が広まってきています。

Zoomなどを利用して、1対1で簿記の指導を受けることができる家庭教師や、YouTubeなどの動画配信で授業を受けることも可能です。自宅から講義を受けることができるため、通学時間を節約することができます。

また、個別指導なので質問しやすい点や、専門スクールよりも費用を抑えられる点もメリットです。ただし、講師の質にばらつきがある場合もあります。

専門スクールへ通う

経理に特化した専門スクールに通う方法もあります。スクールでは経験豊富な講師から直接指導を受けることができます。クラスメートとのディスカッションやグループ学習など、対話形式での学習が行われることが多いです。

ただし、専門的な知識を効果的に学びたい方にはおすすめですが、通学時間や費用がかかることがデメリットです。

資格試験に挑戦

資格試験に挑戦することは、自身のモチベーションを高める手段となります。また、資格取得によって自身の知識を証明し、努力の成果を示すこともできます。

キャリアの向上を目指す人や、自身の努力をアピールしたい人、自信をつけたい人にはおすすめです。また、就職や転職において有利になる可能性があり、企業によっては資格手当が支給されるなどのメリットもあります。

資格試験に挑戦するには、一定の勉強時間と一定の費用が必要となります。費用と時間の負担があるという点はデメリットになるでしょう。成功するためには、明確な期間や時間を設定し、集中して勉強することが重要です。

経理初心者が独学でも取得できるおすすめの資格

経理職に就く際には、資格が絶対条件ではありません。未経験や資格を持っていなくても経理の仕事に就くことは可能ですが、資格を持っていると就職や転職時に評価されやすくなります。

日商簿記検定3級

経理の資格試験の中でも知名度が高く、年間60万人以上が受験しています。1級から3級、さらに初級があり、年に2回受験することができます。

独学で取得を目指す場合、日商簿記検定3級がおすすめです。約100時間程度の勉強で資格を取得することができます。この資格は、簿記の基礎知識を証明するものであり、合格率は通常40〜50%程度です。

短期間で取得できるため、経理職に就いたばかりの方や経理の仕事に興味を持つ学生に特におすすめです。

ビジネス会計検定3級

ビジネス会計検定は、大阪商工会議所が主催する資格試験で、財務諸表に関する知識や分析力を問うものです。この試験では、財務諸表が示す数値を理解し、ビジネス上で活用する能力を重視しています。1級から3級までのレベルがあり、年に2回受験することができます。合格率は通常、60〜70%と高いです。

独学で挑戦したい初心者の方には、ビジネス会計検定3級がおすすめです。

経理事務パスポート検定(PASS検定)

PASS検定は、経理事務スタッフが必要とされる知識を特定の範囲に限定した試験であり、人材紹介や派遣業界などで頻繁に活用されます。この検定は、3つのレベルに分かれており、各レベルは実務における段階に応じています。1級から3級のレベルがあり、3級は事務スタッフに求められるマインドセットや日常的な経費業務などをカバーしています。

この検定は、学習から受験までを完全にオンラインで行うことができるため、自分のペースで学習することができます。初心者の方が独学で学ぶには最適な資格です。

マイクロオフィススペシャリスト(MOS試験)

MOS試験は、毎月1〜2回の頻度で実施される、パソコンを使った実技試験です。この試験は、Microsoft Office製品であるWordやExcelなどを扱うスキルを証明するためのものであり、スペシャリストとエキスパートの2つのレベルに分かれています。スペシャリストの合格率は約80%程度であり、エキスパートの合格率は約60%です。

この試験に合格することで、就職や転職の際に自身のパソコンスキルを証明することができます。独学で取得する場合には、特にWordとExcelのスペシャリストレベルを目指すことをおすすめします。

経理初心者も自主学習でスキルアップを

経理部門はお金の取り扱いを担当する部門であり、専門的な知識が求められます。経理の実務経験を積むと、転職においてもキャリアアップの機会を広げることができます。

経理初心者にとって、簿記や会計ソフトの学習は、実務に直結するために非常に有益です。さまざまな勉強に積極的に取り組んでみることをおすすめします。