
経理の仕事にはどのような人が向いている?|未経験から経理職を目指すための方法を紹介
更新日 2023/06/14
経理部は事務職のなかでも人気の職種の1つですが、残念ながら向いている人と向いていない人がいます。未経験で経理部への転職・就職を目指す場合は、自分が経理に向いている性格か気になる人も多いのではないでしょうか。
そこで、この記事では経理に向いている人の特徴や未経験から経理の仕事を目指す方法を紹介します。経験はないもののこれから経理分野へ転職したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
そこで、この記事では経理に向いている人の特徴や未経験から経理の仕事を目指す方法を紹介します。経験はないもののこれから経理分野へ転職したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
経理の主な業務内容
経理の業務は主に以下のような内容です。- 現預金管理
- 伝票記帳
- 集計・書類作成
- 給与関連業務
- 税金関連業務
大手企業では経理の業務が細かく分けられていて、それぞれの担当者に特化した業務が与えられます。したがって、幅広い知識が一度に必要とされることはありません。数ヶ月の研修を受ければ、経験がなくても経理の仕事に就くことができるでしょう。
なお、経理部と財務部はどちらも資金に関連する部署ですが、経理はお金の流れの管理を担当し、財務部は資金の調達や予算管理、資金運用などを行います。以降の項目では、経理の業務内容について詳しく解説します。
現預金管理
現預金管理は、現金の取り扱いや銀行口座の管理を行う業務です。会社の経営にとって現金や預金は不可欠な資産であり、取引内容や残高を把握せずにいると支払いの遅延や不正行為のリスクにつながる可能性もあります。そのため現預金の管理は、非常に重要な業務と言えます。現金管理の業務内容
預金管理の業務内容
- 金庫で通帳と印鑑を保管
- 銀行口座の残高や出入金を確認
- 会計システムの残高と実際の預金残高が一致しているか確認
- 勘定の整理:現預金の調整、売上の計上、未払金の整理、棚卸しなどを行う
- 決算書の作成:通常は賃借対照表と損益計算書を作成し、必要に応じて予算実績管理表や月次損益推移表なども作成
- 残高試算表
- 総勘定元帳
- 補助残高一覧表
- 資金繰り表
- 台帳
- 勘定の整理:現預金の調整、売上原価の算出と売上の計上、売掛金や貸付金の確認などを行う
- 決算書の作成:賃借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書、株主資本等変動計算書などを作成
- 税金の計算:法人税、法人事業税、法人住民税、消費税などを計算
- 書類の準備:法人税申告書や消費税申告書など、法人税や消費税に関連する書類を準備
- 貸借対照表
- 損益計算書
- 株主資本等変動計算書
- 内訳書
- 法人事業概況説明書
- 正確で慎重に業務を進められる人
- 計画を立ててそれに沿って物事を進められる人
- 強い責任感を持って取り組める人
- 数字に対して苦手意識がない人
- 人とコミュニケーションを取ることが好きな人
- 協調性のある人
- 細かいことにこだわらない人
- スケジュールの立て方に苦手意識がある人
- 責任感が薄い人
- 数字に対して強い苦手意識を持つ人
- 人間関係をあまり好まない人
- 創造性やオリジナリティを発揮する仕事を望む人
- 社内での部署異動を狙う
- 経理に有利な資格を取得
伝票の記帳
伝票の記帳とは、企業間の取引内容を記録することです。経理の帳簿には、「仕訳帳」と呼ばれる取引を時系列順に記録する帳簿と、「総勘定元帳」と呼ばれる勘定科目ごとに分けて記録する帳簿があります。仕訳帳のみを使用する場合、取引が発生した順番に1行ずつ記録し、その後で総勘定元帳にまとめる必要があります。そのため、取引ごとに複数人で記録を分担するのは困難です。
しかし、伝票を使用すると、取引ごとに直接記帳し、その後で総勘定元帳にまとめることができ、取引担当者ごとに業務を分担できるのです。経理業務を効率的に進める上で、伝票の記帳は重要な方法だと言えます。
伝票には、入金伝票、出金伝票、振替伝票、仕入れ伝票、売上伝票などがあり、領収書や請求書などの取引証明書類を基に記帳を行います。これが基本的な作業内容です。
集計・書類作成
経理では、月次決算と年次決算が行われます。月次決算は、会社の事業状況や収支を把握し、経営方針の検討に役立つ重要な資料です。また、年次決算では、月次の調整を行いながら全体の処理をまとめ、納税額の決定や次年度の資金繰りと経営方針の検討に必要な役割を果たします。決算の手順と必要な書類
月次決算の手順月次決算に必要な書類
年次決算の手順
年次決算に必要な書類
給与関連業務
給与関連業務では、従業員の月々の給与を計算し支払います。基本給に加えて残業代や手当などを加算した総支給額から、所得税、社会保険料、住民税、雇用保険料を差し引いた金額が従業員に支払われるでしょう。税金や保険料の差引額は、国や自治体に支払われる必要があるので、正確な計算が求められます。給与は労働に対する重要な対価です。労働基準法では、毎月1回以上、定められた期日に賃金を支払うことが義務付けられており、適切な給与支払いは経理業務の中でも重要な仕事となります。
税金関連業務
税務関連業務では、会社が納める法人税や消費税を計算し、納税手続きを行います。まず、一般的な財務会計の規則に基づいて決算書を作成し、その後、法人税法で定められた項目に基づいて調整を行い、最終的な課税所得を算出します。会社は決算後に税務申告書と決算書を作成し、正確に税金を納める義務を負っています。また、年々の税制改正に迅速に対応するために、経理担当者は専門知識を持ち、柔軟な対応が求められます。税務関連業務は重要であり、経理担当者の存在は欠かせないものです。
経理業務のスケジュール
経理業務では、日々の業務に加えて、月次や年次など定められた期間ごとに行うべき仕事があります。給与支払や決算書の作成など、期限がある業務では、準備をしっかりと行い、事前に計画を立てることが重要です。そうしないと、何をすべきか分からずに迷ったり、期限に間に合わなくなる可能性があります。そのため、注意が必要です。一般的な経理業務のスケジュール例を、日次、月次、年次ごとに紹介します。
1日のスケジュール
閑散期時刻 | タスク |
---|---|
9:00 | 出社 |
10:00 | 小口現金を準備 |
11:00 | 仮払金・経費精算などの処理 |
12:00 | 昼休憩 |
13:00 | 入出金確認 |
14:00 | 伝票の作成・データ入力 |
15:00 | 現金残高の照合 |
16:00 | メールチェック・ファイリング |
繁盛期
時刻 | タスク |
---|---|
9:00 | 出社 |
10:00 | 小口現金を準備 |
11:00 | 仮払金・経費精算などの処理 |
12:00 | 昼休憩 |
13:00 | 入出金確認 |
14:00 | 伝票の作成・データ入力 |
15:00 | 現金残高の照合 |
16:00 | メールチェック・ファイリング |
1ヶ月のスケジュール
日付 | 業務内容 |
---|---|
1日 | 売上代金の請求と回収の管理業務・在庫の確認・実地棚卸 |
5日 | 月次決算 |
10日 | 住民税や源泉徴収税の納付 |
20日 | 給与の算出と支払い準備・社会保険料の算出・仕入代金の支払い |
25日 | 月次決算 |
末日 | 伝票類の取りまとめ・社会保険料の納付 |
1年のスケジュール
月 | 業務内容 |
---|---|
4月 | 決算整理・財務諸表作成 |
5月 | 決算書類作成・株主総会の準備 |
6月 | 株主総会の開催・税務申告 |
7月 | 賞与計算と振込み・支払届の提出・労働保険の年度更新・社会保険料算定基礎届の提出 |
11月 | 中間税務申告 |
12月 | 年末調整・賞与計算と振込み・支払届の提出 |
1月 | 法定調書と給与支払報告書の提出・支払調書の作成と提出 |
3月 | 実地棚卸・年次決算準備 |
経理の仕事が向いている人の特徴
経理の仕事には、向き不向きが存在します。一般的に、経理に向いている人の特徴は以下の通りです。経理に向いている人の特徴
経理の仕事をするには、正確性や責任感、コミュニケーション能力などが必要とされます。各項目の詳細を確認し、自身が経理に向いているかどうかを見極めましょう。
正確に慎重に業務を進められる人
経理業務では、正確性が非常に重要です。帳簿に記録された数字と実際の資金の流れが一致していないと、全ての記録を再度確認しなければなりません。経理の仕事は、給与支払いや税金納付など、会社の基盤に関わる重要な業務が多いため、誤りは絶対に許されません。日々、正確かつ慎重に業務を行えば、記録と実際の資金の流れに不整合が生じることはありません。ミスが少なく、高品質な業務を進めることのできる人こそが、経理に向いている人材と言えるでしょう。
計画を立てて計画通りに物事を進められる人
経理業務では、日々の資金管理に加えて、月単位や年単位での業務もあります。税金や給与の計算・支払い、決算書の作成など、期限が設定された業務が多いため、確実な計画を立て、それに従って業務を進めることが重要です。計画性のない、思いつきで業務を進めるような人では、期限までに業務を完了することができず、大きなミスにつながる可能性があります。将来を見越して計画を立て、目標を達成するために必要な手順を考えられる人でなければ、経理の仕事は難しいかもしれません。
責任感の強い人
経理部門は会社の資金の流れを管理する役割をしています。そのため、責任感を持って業務を行うことが求められます。他人に任せたり、途中で放置したりするような人では、経理の業務は適切に行えない可能性が高いです。特に中小企業では、経理業務の範囲が広く、資金管理も担当することが多いため、より大きな責任が伴います。小さなミスでも他の部署や取引先に影響を及ぼす可能性があることを意識し、円滑に業務を進めるためには、自ら考え行動し、責任感を持って経理の仕事に取り組む必要があります。
数字に対して苦手意識がない人
経理業務では、伝票作成や給与計算、決算書作成など、日常的にさまざまな数字と向き合うことになります。数字に対して苦手意識があると、会計システムやExcelなどでのデータ入力時にミスが増え、業務の進行に支障をきたす可能性があります。数字に対する苦手意識がなく、正確にデータ入力ができる人なら、ミスを最小限に抑え、円滑に業務を進めることができます。また、長時間にわたって数字に集中して取り組むことができる能力も、経理に適した人材の特徴です。
人とコミュニケーションをとることが好きな人
経理の仕事は常に数字や数字の処理に没頭しているように見えますが、実際には人との関わりも非常に重要です。例えば、営業部門など他の部署から提供された数字をまとめる際には、その部署の担当者との綿密なコミュニケーションが必要です。また、取引先との請求内容の確認など、自社外の人々とのコミュニケーションも必要となる場面があります。お金に関わる仕事だからこそ、円滑なコミュニケーションを通じて相手の意図を理解し、正確な仕事を行うことが重要です。
協調性のある人
多岐にわたる経理業務は、部署内での役割分担によって行われます。そのため、協調性が求められ、各仕事の進捗状況を把握し、遅れているメンバーがいればサポートするなど、チームプレーを意識しなければ業務は円滑に進まなくなります。経理の仕事は個々のオリジナリティや個性を発揮する場ではありませんが、チームとして多くの仕事を行っていく必要があります。お互いに協調性を持ち、情報を共有しながら仕事に取り組めば、スムーズな連携が生まれ、繁忙期も乗り越えやすくなるでしょう。
経理の仕事が向いていない人の特徴
これまでに紹介した「経理に向いている人」とは逆に、以下の特徴を持つ人は経理の仕事に向いていないと考えられます。経理に向いていない人
経理の仕事に向いていない人が就くと、数字との向き合い方や長時間のデスクワークにストレスを感じることがあります。自分自身の適性を見極めるためにも、仕事を負担に感じない方向に進むように心掛けましょう。
未経験から経理の仕事を目指すには?
経理の仕事は未経験から入ることが難しいと思われがちですが、基本的なステップを踏むことで経理の職に就くことができます。以下に、未経験から経理を目指す主な方法をご紹介します。未経験から経理を目指す方法
部署異動や資格取得など、これらの方法を上手く活用することで、経理部門への就職につなげることができます。それぞれの方法について具体的な内容を把握し、自身に適したアプローチを選び、理想の仕事を手に入れるための参考としてください。
社内での部署移動を狙う
もし現在の会社で経理の仕事に就きたい場合は、部署移動を狙う方法があります。まずは直属の上司と相談してみましょう。同じ会社で働くなら、上司との良好な関係を保ちつつ希望の部署へ移るのが理想的です。次に、会社の人事制度に従って異動願を提出します。繁忙期を避け、人事異動の時期の1ヶ月前に上司に提出すると良いでしょう。
異動を成功させるためには、「自分には経理部で役立つ能力がある」とアピールすることがポイントです。単に「経理に興味がある」と言うだけでは異動は難しいため、具体的な異動の目的を考えてみてください。
経理に有利な資格を取得する
経理の仕事に就くためには、必ずしも資格が必要というわけではありませんが、経験者が優遇されることが多いのは確かです。そのため、資格を取得することで転職や部署移動において有利になるでしょう。経理未経験者におすすめの資格紹介
資格名 | 概要 | 合格率 |
---|---|---|
マイクロソフトオフィススペシャリスト | マイクロソフトオフィスツールの操作スキルを証明する資格 | 合格率非公開 ※パソコン操作に慣れていれば難易度は低め |
簿記検定3級 | 帳簿記入の方法や経理関連書類の読み方を始めとした、経理業務の基本的な実務ができることを証明する資格 | 合格率45.8% ※2022年6月12日実施回(参考:商工会議所の検定試験) |
ビジネス会計検定3級 | 財務諸表を理解し、会計の目線から企業の実態を分析するための知識を備えていることを証明する資格 | 合格率63.5% |
適性を見極めて経理に挑戦を
経理は会社の資金の流れを管理する重要な部門です。業務内容は幅広いですが、正確さと慎重さを持ち、数字に苦手意識のない人やコミュニケーション能力の高い人が経理に適しているとされています。経理に向かない性格の場合、仕事にやりがいを感じずストレスを抱えることもありますので、自身の適性を考えることが重要です。また、未経験で経理を目指す場合、資格を取得していると有利ですので、部署移動や転職を検討する際には資格取得も考慮に入れると良いでしょう。