
経理職のキャリアプランの設計と面接対策|プランニング時に考慮すべきポイントも紹介
更新日 2023/05/30
全ての業界で必要不可欠な経理には、さまざまなキャリアパスがあります。自己のキャリアゴールを明瞭にすることで、多種多様な経理資格の中から最適なキャリアの方向性が見えてくるでしょう。キャリアプランを慎重に計画し、それに従って行動することで、転職活動も円滑に進行します。
本記事では、経理職へのキャリアパスの具体例、キャリアプラン作成の手法、面接における回答サンプルなどを解説しています。経理職への転職を検討している方は、この記事をぜひご活用ください。
本記事では、経理職へのキャリアパスの具体例、キャリアプラン作成の手法、面接における回答サンプルなどを解説しています。経理職への転職を検討している方は、この記事をぜひご活用ください。
経理職における4つの主要なキャリアパス
経理職におけるキャリアパスは個々により多岐に渡りますが、ここでは主要な4つの例をご紹介します。- 現職場での昇進を目指す
- 中小企業を経験後、大手企業の経理部門に転職する
- 会計事務所を始めとした個人事業主として独立する
- 外資系企業への転職を考える
現職場での昇進を目指す
現在の企業での継続的な勤務を通じて、順次役職を昇進し、CFOや経営企画などの高位職を目指すというキャリアプランです。通常、経理の仕事とは毎日の資金の流れを管理し、会計帳簿に記録し、決算報告書を作成するなどの文書作成関連の業務が主になります。しかし、上位の職位になると、自社や取引先の経営状況を分析したり、経営戦略に対する助言を提供したりします。したがって、経営層を直接支援するための高度な分析能力や経験が求められる役職になります。
中小企業を経験後、大手企業の経理部門に転職する
中小企業と大企業では、同じ経理職でも仕事の内容が異なることが多くあります。大企業では一般的に経理の仕事が多岐にわたるため、業務を細分化して社員がそれぞれの領域を担当することが一般的です。一方、中小企業ではスタッフが少ないため、一人当たりの業務範囲が広いこともあります。中小企業で多方面の経験を積み重ねた後、大企業に移り、より専門的な業務に取り組むことも可能です。
必ずしも大企業が中小企業より良いとは限りませんが、中小企業での実務経験を基に大手企業に転職するというキャリアパスも考慮に入れる価値があります。
会計事務所を始めとした個人事業主として独立する
企業における経理の職務経験を積んだ後で、会計事務所や税理士事務所、コンサルティングといった形で自立し、自分自身の事業を立ち上げるというキャリアプランも存在します。ただし、自己の事業を立ち上げるためには、公認会計士や税理士といった高度な資格の取得が必要になることが多いです。また、自身で顧客開拓やマーケティングも担当するため、コミュニケーションスキルやビジネス戦略を見極める能力も求められます。
外資系企業への転職を考える
日本の企業で経理としての職務経験を積んだ後、外資系企業に転職するというのも一つのキャリアパスとして考えられます。国内と海外では、税法や会計基準が異なるため、外資系の経理職に就く場合、その国の会計基準や税法を理解することが求められます。もし外資系企業の顧客がいれば、徐々にその文化に慣れていくことも可能です。また、米国公認会計士(USCPA)のような国際的な資格を取得しておくと、転職活動において優位に立つことができます。
経理職のキャリアプランについての面接での回答方法
先ほど挙げたキャリアプランのように、将来的には転職したり、自立したりして自身のキャリアを拡大することを考えている方もいらっしゃるでしょう。しかしながら、面接の場においては、将来的に企業を去る意図を伝える必要はありません。その代わり、「その企業において何を達成したいか」という目標を明確に表現することが大切です。経理職のキャリアプランとして、以下のようなものが想定されます。
経理職におけるキャリアパス
- マネジメント職:経理に関する知識を全面的に持ち合わせ、部門全体を監督するリーダーシップを持つ経理職
- 専門職:特定の専門知識を持ち、通常では解決が難しい問題にも対応可能な経理職
- その他の職種:ITや外資企業等、特定の領域に詳しい経理職など
管理職志向のキャリアプラン
管理職を目指すなら、経理部門を統轄する能力を持つことが必要不可欠です。一般的には、課長から部長へ、そして役員へとステップアップすることが多いと言えるでしょう。管理職を目指す際は、以下のような短期目標を設定し、確実に進んでいくことが可能です。3年後・5年後の目標例
- 3年後:ミスなく業務を遂行し、新入社員の育成が可能
- 5年後:部署のプロジェクト管理が可能で、他部署との調整が可能
現在の職場で私は3年間、経理の基本的な仕事から決算書の作成、税金の申告といった一連の業務を経験してきました。今後は、経理の仕事の本質をより深く理解し、3年後には新人の教育に参加するような立場になりたいと思っています。そして5年後には、部署内のプロジェクト管理を行えるようになり、他の部署との連携もスムーズに行えるリーダーとして、経理部門全体をコーディネートできる能力を持つことを目指しています。
スペシャリストを目指す場合のキャリアプラン
専門家になるためには、経営状況の分析や上級者への助言など、高度な専門知識を要求されます。日々の学習と実務経験を通じて、分析スキルや特別な技能を育てていきます。専門家として成り立つためには、適切な採用策だけでなく、成果も必須となります。3年後・5年後の目標例
- 3年後:決算書の作成や税務申告が可能になる
- 5年後:幅広い実務経験を積み、問題や異常事態を見抜く能力を持つ
これまで2年間の経理業務経験を生かして、3年後には日常的な経理業務を完璧にこなす専門家を目指すと考えています。そして、5年後には、実務経験を活かして問題や異常事態に対応できる能力を獲得したいと思っています。
その他のキャリアプラン
時代と共に求められる専門領域は変化します。例えば、現代ではデジタル化が推進され、さまざまな業務がデジタル化へと移行しています。そのため、IT分野に精通した経理のキャリアパスも一つの選択肢としてあります。また、海外展開を計画している企業では、外資系の知識を持つ経理を求める場合もあります。これらも考慮に入れるべきキャリアプランと言えるでしょう。ITスキルを備えた経理職へのキャリアパス
経理の分野でも、インボイス制度の導入などにより、ペーパーレス化やデジタルトランスフォーメーションが求められています。進化する会計ソフトウェアは、自動的に仕訳処理を行うサービスも提供しているため、デジタルツールを活用できる経理職はますます重要となっています。3年後・5年後の目標設定例
- 3年後:基本的な経理業務を無誤に遂行し、ITの基礎スキルを習得する
- 5年後:経理業務を念頭に置きつつ、経理システムの改善が可能になる
過去3年間、経理職として基本的な業務をこなしてきました。しかし、現在はデジタル化の波に対応するため、3年後には基本的なITスキルを身につけ、経理業務を無誤に遂行できるようになりたいと考えています。そして、5年後には経理システムの改善を行い、作業の効率化に対する提案が可能な経理職になりたいと思っています。
外資に精通した経理職へのキャリアパス
現代のグローバル社会では、多くの企業が海外進出を考えています。海外と日本では会計基準や税制度が異なるため、専門的な知識が求められます。外資に精通した経理職を目指すには、実務経験を積むと共に、米国公認会計士などの国際基準の資格取得が有利になるでしょう。
3年後・5年後の目標設定例
- 3年後:日本の経理業務を無誤にこなし、国際基準を学ぶ
- 5年後:外資系企業での実務経験を積む
過去5年間にわたり、経理と会計の職務を担当してきましたが、今後は貴社の海外展開をサポートできるスキルセットを身につけたいと考えています。今までの実務経験を活かしつつ、3年後には国際的な会計基準についての理解を深め、そして5年後には外資系企業との仕事を通じて更なる実務経験を積むことを目指しています。
経理職のキャリアプラン作成に際する要点
経理職としてキャリアプランを策定する際に覚えておくべき重要なポイントをいくつか紹介します。転職活動に進む方々は、以下の要点を確認してからキャリアプランを作成することを推奨します。経理職のキャリアプラン作成における留意点
- 女性の結婚や出産はキャリアに対するマイナス要素ではない
- 過度にプライベートを優先しない
- 志望理由と計画が矛盾していないかを確認
- 該当会社で実現可能な計画かどうかをチェック
女性の結婚や出産はキャリアに対するマイナス要素ではない
キャリアプランを作成する際に、女性が結婚や出産といった人生の重要なイベントにどう対処するかについて悩むことが多いです。かつては女性が結婚や出産を機にキャリアを放棄しなければならないという認識が一部に存在しましたが、近年ではその考え方は薄れてきています。しかし、女性のライフイベントに否定的な会社も存在することは確かです。
結婚や出産はポジティブに捉えることが望ましいです。育児休暇中に資格を取得する人や、新たな家族の出現を契機に自身の目標を更に高く設定する人もいます。結婚や出産も含めたキャリアプランを作成することで、ポジティブな印象を与えることが可能です。
過度にプライベートを優先しない
プライベートな時間は確かに重要ですが、キャリアプランという観点からは、あくまで仕事に対する目標と戦略を主に考えるべきです。特に面接の際には、私生活に過度に焦点を当てるのは控え、仕事に対する具体的な成長の計画や目標を明示することが望ましいです。志望理由との一致を確認する
キャリアプランは自身の未来について長期的な視野で考えるものであり、それが志望理由と大きく食い違っている場合、それは問題です。志望理由とキャリアプランが一致していると、面接官に対して一貫性と説得力を持たせることができ、より良い印象を与えることができます。企業の実情に合致したプランを策定する
提案するキャリアプランは、その企業で実現可能な範囲のものであるべきです。例えば、企業が海外進出を計画していないのに、自分は外資系での経験を積みたいと述べると、企業の状況を理解していないと思われてしまう可能性があります。あなたのキャリアプランにとって、その企業が一つのステップであるとしても、既に退職を視野に入れているような人材を採用することは、非常に優秀な例外を除き、企業にとってはあまり望ましい事態ではないでしょう。
経理職のキャリアプラン作成とその重要性
経理職におけるキャリアパスは多岐に渡りますので、自身のキャリアプランを明確にし、理想の職業像を定めることで、キャリアの発展をスムーズに進めることが可能です。自分の内面的なキャリアプランと、面接で述べるキャリアプランが完全に一致する必要はないという事実を念頭に置くと良いでしょう。キャリアプランの策定にあたっての注意点を掴むことで、転職面接でも良い印象を与えられるでしょう。キャリアプランについての迷いや、面接での回答方法について不安を抱えている場合は、転職支援サービスの専門アドバイザーなどを利用することで、転職活動をより円滑に進めることができます。